悲しむ場所ではなく「ありがとうを伝える場所」にしたい

井原不動産事務所・糸島自然霊園

子供たちのあそび声が聞こえる、家族を思うための場所。

「衣」「食」「住」に関わるさまざまなお店があり、便利な今宿ですが
なんと、最期のときを迎える人々を賑やかに迎えてくれる霊園もあるのです。

井原大地さん(井原不動産事務所 代表)と、古賀愛さん(糸島自然霊園 終活カウンセラー)にお話を伺いました。


井原さん(右)と、古賀さん(左)


ーまずは会社の成り立ちを聞かせてください。

井原さん「創業が昭和54年の3月なので、今年で43年目になります。糸島自然霊園を運営する井原不動産事務所は、父が経営していた井原不動産を前身としています。不動産業(仲介・売買)と霊園の運営業、2つの顔を持つ会社です。2015年に父が亡くなり、兄弟4人がそれぞれ事業を分担する形で会社を引き継ぎました。」

古賀さん「弟(井原大地さん)は会社の代表取締役で、霊園の管理もしています。霊園の運営と会社の経理は長女である私が引き継いで、2番目の妹は私と一緒に経理を、一番下の妹は旦那さんと一緒に不動産分野をやっていますから、本当に家族経営です。」

ー提供しているお墓には、どんなものがありますか?

井原さん「昔ながらの、一般的な先祖代々受け継いでいくようなお墓だったり、子供や孫に迷惑はかけられないという方のための永代供養としての樹木葬だったり、屋外にある納骨堂などを提供しています。」

―時代によってニーズの変化があると思いますが、その辺りはいかがでしょう?

井原さん「残しててくれれば自分たちも入れるっていう方がいれば、残されても管理とかが大変だから一代限りにしてほしいっておっしゃる方もいたり…あとは遠方にお墓があるから先祖のお墓ごと移動して自分たちが見れるようにしたい、近くでいつでもお参り行けるようにしたいという方もいたりとか…本当に家族ごとにストーリーがありますね。

あとは公園みたいな霊園っていうことで、子供たちの方から『お墓参り行こう!』って言ってもらえるような霊園にしたいなと思ってます。」

―そういったコンセプトはお父様の代からあったのでしょうか

古賀さん「いえ、私たちも霊園の経営は素人だったので、試行錯誤しながらやってたのですけど、その中で出勤する時に子供を連れてくるようになったんですね。草取りとかするのに、ほったらかしてても安全なので。そうしたら、お参りに来られたお子様と仲良くなって一緒に遊ぶようになって…それが何年も続いて、どんどんお子様のお参りが増えたって感じですね。子供が賑やかな、遊び声が賑やかな方がいいねって他のお客様も言ってくださるので、そういう霊園にだんだんなっていきました。」

「終活」は生きるために必要なもの。

―霊園をつくったきっかけは、お父様からなにか伺っていますか?

古賀さん「父は『昔の田舎の不動産屋』っていう言葉がぴったりの堅物だったんですね。あんまりマメに感謝の言葉を伝えたりする人間ではなかったですけど…病気をして手術をしたことで、人が変わったなとは思いました。

28年前、肝硬変になった父が助かる方法は臓器移植しかありませんでした。しかし、当時は臓器移植がまだまだ難しい時代で、国内には法律も整備されていないような状況でした。そこで九大病院の方からアメリカ・サンフランシスコの病院を紹介していただき、なんとか移植を受けることができました。

どなたかから肝臓をいただいて元気になって、その後20数年生きたんですけど、その経験が父にとっては人生を変える経験だったみたいで。肝臓をくださった方に恩返しをする意味を込めて、霊園事業をスタートしたみたいです。」

―お父様の中にストーリーがあったわけですね。お客様の人生を終えていく場所をつくりながら、その最後のひと時である”終活”に寄り添うというのは、大切で素敵な仕事ですね。

古賀さん「そうですね。終活って終わりみたいに思われるんですけど、最近は人生100年時代じゃないですか。50歳くらいで終活を考え出したとしても、余生はあと50年あったりするんです。で、その生きているうちにお墓を買われる方がすごい多いんですね。あと買ってたら安心だからみたいなのが多くて…終わりを考えるというよりは残りの人生をどう生きるか考えるのが終活かなと思いますね。終わる準備っていうよりは、残りの人生のプランニングみたいな。

だから、私が肩書きとしている”終活カウンセラー”は、なにかを専門的にアドバイスするわけではないんです。お客様が抱えている家族の問題を引き出してお話ししていただくのが仕事ですね。やっぱり終活を考えていらっしゃる方は、相続の心配とかが頭のどこかにあってご相談に来られるので、内容に合わせて不動産屋だったり弁護士さんに繋いでいます。」

ー最後に、今後の展望について聞かせてください。

古賀さん「父の思いを引き継ぐという意味で、やりたいことがあります。通常、臓器移植を受けた人たちはドナーの方に直接感謝を伝えることができません。その代わりに、父は臓器移植のドナーになられたすべての方への感謝の気持ちを形にした塔か石碑のようなものをこの霊園に建てたがっていました。いまは私たちも受け継いだ仕事でいっぱいいっぱいなので、まだ建てられてないですけど…でも、いずれはと思っています!」

井原さん「今後も不動産業と霊園管理との二本柱を、地域に根差して続けられたらと思っています。それから、うちの霊園は千如寺などの観光地の近くにあります。玄界灘を見降ろす眺めが広々として心地の良い場所です。ぜひ、お子さんと公園に遊びにいくつもりでお越しいただければ嬉しいですね!」

会社名 有限会社井原不動産事務所
代表者 井原 大地
住所 ・福岡県福岡市西区今宿1丁目5番30号(井原不動産事務所)
・福岡県糸島市雷山630-1(糸島自然霊園)
営業時間 ・10:00〜18:00[定休日:日曜・祝日 電話受付可](井原不動産事務所)
・9:00〜17:00[毎週水曜日定休日](糸島自然霊園)
HP https://imajuku-ihara-realestate.jp/
http://shizen-reien.co.jp/
TEL ・092-807-0345(井原不動産事務所)
・092-329-0015(糸島自然霊園)